症状
甲状腺中毒症状(動悸、多汗、手足の震え、体重減少)、眼球突出、眼瞼腫脹
(小児ではせっかちで落ち着きがない、集中力が続かない等)
くびの病気
首に痛みやしこりを感じるときは、リンパ節や唾液腺、甲状腺などに炎症や腫瘍が原因のことがあります。悪性腫瘍(癌や悪性リンパ腫)が存在する場合もあります。これらに対しては初診時や経過観察時の超音波検査(エコー)が、長時間を要しない、痛みの少ない検査で、定期健診にも非常に有用です。健診等で頸部(くび)や甲状腺に異常を指摘された場合はお気軽にご相談ください。
甲状腺が単純に大きくなった状態を甲状腺腫と呼びます。その中で限局性にしこりのように腫れる場合を結節性甲状腺腫といいます。結節性甲状腺腫は良性腫瘍と悪性腫瘍とに分けられ、約90%は良性とされています。
良性腫瘍の代表的なものとしては①腺腫様甲状腺腫(過形成)、②濾胞腺腫、③甲状腺囊胞などがあり、悪性腫瘍の代表的なものとしては①乳頭癌、②濾胞癌などがあります。乳頭癌が悪性腫瘍の90%を占めます。
自己免疫疾患で、甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体に対する自己抗体により調整機能が障害され、甲状腺ホルモンが過剰に産生される疾患です。若年の成人女性に好発します。
甲状腺中毒症状(動悸、多汗、手足の震え、体重減少)、眼球突出、眼瞼腫脹
(小児ではせっかちで落ち着きがない、集中力が続かない等)
甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体に対する自己抗体による自己免疫疾患です。
抗甲状腺薬を用いた薬物療法、放射線ヨード内用療法、手術療法(甲状腺組織減量)
甲状腺内に疼痛を伴う強い炎症が生じ、甲状腺組織が破壊され甲状腺ホルモンが血中に多量に漏出することで甲状腺中毒症(動悸、多汗、手足の震え、体重減少)を呈する疾患です。40~50歳代の女性に多く認められます。
発熱、前頸部腫脹、疼痛の炎症症状、甲状腺中毒症状(動悸、多汗、手足の震え、体重減少)が認められます。
多くは風邪を含めたウイルス感染をきっかけにして起こります。
発症初期は強い症状を伴うためステロイド薬を中心とした消炎治療を行います。
甲状腺に慢性の炎症が起こる自己免疫疾患で、甲状腺がびまん性に腫大し、甲状腺機能低下症をきたす疾患です。初めて報告(1912年)された先生のお名前から橋本病とも呼ばれます。20~50歳代の女性に多い疾患で、成人の10人に1人がこの病気を持っているとも言われています。
初期は甲状腺機能は正常で、びまん性の甲状腺腫大のみを認めることが多いですが、慢性炎症が拡大進行すると甲状腺機能低下が持続し、全身倦怠感、身体のむくみ、便秘、食欲低下、寒がり、皮膚のかさつき、集中力低下、脱毛などが徐々に出現します。
主な標的抗原は甲状腺細胞のサイログロブリン(Tg)と甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)で、抗Tg抗体や抗TPO抗体の自己抗体を認め、抗原抗体反応により甲状腺に慢性的な炎症が生じます。
まず定期的な診察と血液検査によるホルモンチェックを行います。甲状腺機能低下が強く認められた場合、甲状腺ホルモン薬による補充療法を行います。
甲状腺が単純に大きくなった状態を甲状腺腫と呼びます。その中で限局性にしこりのように腫れる場合を結節性甲状腺腫といいます。結節性甲状腺腫は良性腫瘍と悪性腫瘍とに分けられ、約90%は良性とされています。
良性腫瘍の代表的なものとしては①腺腫様甲状腺腫(過形成)、②濾胞腺腫、③甲状腺囊胞などがあり、悪性腫瘍の代表的なものとしては①乳頭癌、②濾胞癌などがあります。乳頭癌が悪性腫瘍の90%を占めます。
大きくなると前頸部の腫瘤に気付いたり周囲から指摘されたりしますが、自覚症状を認めない場合もあり、CTやMRI検査、PET検査を行う健診等で偶然発見されることが増えています。悪性の場合には声のかすれが出現することがあります。
まず頸部の触診や声帯の可動性等の耳鼻咽喉科的診察を行います。
血液検査では甲状腺ホルモン値や必要時腫瘍マーカーのチェックを行い、超音波を中心に画像検査を行います。必要であれば穿刺吸引細胞診を行い、治療の方針を決定します。悪性腫瘍(癌)の可能性を探り、判断することが重要です。
●良性腫瘍:比較的小さいもので、画像検査上も悪性を疑うものでなければ定期的な超音波検査での経過観察も可能です。
ただし以下の場合には手術の適応となります。
●悪性腫瘍:他臓器の癌に比べると比較的進行は緩やかです。手術による摘出が第一選択となります。
※手術適応となる場合は、施術可能な専門病院へご紹介致します。
唾液腺は唾液(つば)を作る器官で、大唾液腺と小唾液腺があります。大唾液腺は耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つからなり、ここで作られた唾液は管を通じて口腔内に流出します。 小唾液腺は口唇口腔粘膜やのどの粘膜の一部に存在し、直接口腔内に唾液を分泌しています。
唾液に含まれるカルシウムが固まってできた唾石が、唾液管を狭窄あるいは閉塞することで唾液腺が腫れる病気です。顎下腺管が他の唾液管に比べて長い、唾液が粘稠である等の理由で顎下腺に唾石ができやすいです。
食事によって唾液の量が増えますが、唾石の影響で口の中への流出が滞って唾液腺の中に溜まってしまうため、食事中後に腫れ、痛みが強くなることが特徴です。
超音波検査(エコー)やCT検査で唾石の位置や大きさを確認します。
唾石の大きさ、位置によっては自然に排出されることもありますので、十分な飲水と唾液腺のマッサージを指示します。
顎下腺唾石の場合は、口腔底にある管出口の近くにあれば口の中から小さな切開を行い摘出することもできますが、摘出が難しい場合は手術で唾液腺ごと取り出すことが多いです。最近は非常に細い内視鏡を使って管出口から摘出する手術も行われています(施術可能な病院は限られます)。
ムンプスウイルスが原因で片側あるいは両側の唾液腺の腫脹を特徴とするウイルス感染症で、おたふくかぜと呼ばれます。
2~3週間の潜伏期を経て発症し、通常1~2 週間で軽快します。症状としては発熱、耳下腺の腫れ、咽頭痛などです。最も多い合併症は髄膜炎で、その他脳炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎などを認める場合もあります。
難聴を合併した場合、ほとんど聞こえない重度の障害になることもあります。
対症療法が主で、発熱、腫れ痛みに対して鎮痛解熱剤の投与を行います。
予防にはワクチンが有効ですが、我が国では現在おたふくかぜの予防接種は定期接種ではなく、任意接種です。接種後は90%前後の方が有効なレベルの抗体を獲得すると報告されています。
成人でも感染の可能性はありますので、ワクチン未接種や接種不明の方、おたふくかぜにかかったことがない方は、必要時抗体検査を行い結果によってはワクチンを接種することをお勧めします。
多くは6歳頃までに耳下腺の腫れを繰り返す病気です。多くの発症要因が挙げられますが、明確な原因は特定されていません。
初めて腫れたときはおたふくかぜとの区別が難しいことがあり、症状を繰り返すことで診断されることもあります。おたふくかぜと異なり、発熱の症状は軽く高熱が出ることは多くありません。
鎮痛解熱剤などの対症療法を行います。数日程度で良くなることが多いですが、細菌の感染が疑われる際は抗生物質を使用することもあります。
成長とともに頻度が減っていきます。10歳以降まで繰り返すことはほとんどありません。
90%は耳下腺と顎下腺にできます。良性腫瘍が多く、多形腺腫という腫瘍が多数を占めます。また中年以降で喫煙歴がある男性ではワルチン腫瘍という腫瘍が多く見られます。
一方悪性腫瘍は顎下腺腫瘍の30~40%、耳下腺腫瘍の約20~30%程度を占め、決して少なくはありません。
悪性腫瘍でも初期には症状がないことが多く、耳の前部や下部にしこりとして感じる程度です。
腫瘍が大きくなると、強い痛みや顔面神経麻痺が起こることがあります。
唾液腺腫瘍を疑う場合、まず超音波(エコー)検査で腫瘍の有無を確認します。腫瘍が認められれば針で刺して細胞を一部採取する穿刺吸引細胞診や、MRIやCT等の画像検査で腫瘍の広がりや進展を確認します。
原則手術で腫瘍を取り除きますが、良性腫瘍の場合はそのまま様子を見ることもあります。
リンパ液が流れるリンパ管に中継点のように存在します。有害物質を除去するフィルターのような役割をしており、リンパ節でリンパ液中の細菌やウイルス、癌細胞、異物等は捕らえられます。全身に400~600個存在します。リンパ節は異物を退治するために炎症や腫れを起こします。
首のリンパ節が腫れる原因では最も多く、急性咽頭喉頭炎、急性扁桃炎、唾液腺の急性炎症(急性耳下腺炎や急性顎下腺炎)、また虫歯などによっても炎症を起こし腫れます。
痛みを伴いますが、消炎鎮痛剤や抗生剤を使用し、原因がある場合はその治療も同時に行い1~2週間程度の経過で良くなる場合がほとんどです。
血液中のリンパ球ががん化した疾患であり、主にリンパ節、脾臓および扁桃腺などのリンパ組織に発生します。首や腋、足の付け根などのリンパ節が腫れてしこりを感じ、扁桃腺やおなかの腫れとして感じることもあります。これらの腫れやしこりは痛みが少なく、炎症で腫れる場合よりも大きなボール様の腫れとなり、時間とともに徐々に大きくなります。
また全身症状として、持続する発熱や寝汗、原因不明の体重減少、倦怠感や息切れなどが現れることもあります。